臨床工学技士(Clinical Engineer)とは?


臨床工学技士の主な業務

「医師の指示の下に、生命維持管理装置の操作及び保守点検を行う者」です。さらに、医療安全の面から病院にある様々な医療機器が安全に使用できるようにメンテナンスを行っております。このように、臨床工学技士は病院において様々な医療機器を安全かつ効果的に使用するために注目されている医療職種です。

 

主な業務範囲として、以下のものが挙げられます。

 ・血液浄化業務                                           ・高気圧酸素治療業務

・人工心肺業務                                            ・ペースメーカ業務

・呼吸治療業務                                            ・植込み型除細動器業務

・手術領域(周術期を含む)での業務       ・その他の治療機器(除細動器など

・集中治療領域での業務                             ・保守点検関連業務   

・心・血管カテーテル業務         

                                                                                              「臨床工学技士基本業務指針2010」より抜粋

 

 

 

 

                             


臨床業務

血液浄化

 

腎臓の機能は低下した患者さんに対して、1.老廃物の除去、2.電解質の調整、3.酸塩基バランスの調節、

4.水分の調節などの腎臓の機能を、人工的に代行する血液透析治療を施行しています。治療を受ける方の多くは

慢性腎不全に対して行われており、我が国において現在30万人以上の方が維持透析治療を受けられています。

その他にも、全身の状態が悪い患者さんが急激に腎機能が低下する急性腎不全に対しても、血液透析治療が行われることがあります。特に、敗血症性ショックや心臓手術等の高度な手術侵襲が加わった腎不全患者さんに対しては、集中治療室において24時間連続的に透析治療を行う持続的腎代替療法(CRRT)が施行されています。 

体外循環

 

心臓や大血管の手術を行う際に、一時的に心臓を停止させて手術をする必要があります。

このような患者さんに対して、手術中人工的に呼吸循環を代行する装置が人工心肺装置です。

臨床工学技士は人工心肺装置の操作、保守・点検を行うことにより、このような手術を安全に施行することに貢献しています。

 

集中治療

 

集中的に全身管理が必要な患者さんは、集中治療室(ICU)に入室されます。

川崎医科大学附属病院には本館6ICU、冠動脈疾患などを集中的に治療するCCUが同部署にあります。

また、北館4階には救急ICUがあります。我々臨床工学技士は、集中治療室で人工呼吸器の保守管理や、急性心不全の患者さんにはPCPS(経皮的心肺補助装置)やIABP(大動脈内バルーンパンピング)などの補助循環装置の操作・管理、急性腎不全の患者さんには持続的血液浄化装置の操作・管理を行っています。

生命維持管理装置の設定条件などについて麻酔科医や循環器内科医、看護師とともにディスカッションしながら治療を行っています。


保守管理業務

MEセンター

 

近年の医療技術の進歩に伴い、病院内における医療機器の保有台数は急激に増加しております。

このような、医療機器が安全かつ効果的に使用されるためには、適切なタイミングで保守管理する必要があります。

臨床工学技士は、病院内にある医療機器を安全に使用できるために、年間を通じて計画的に保守計画を策定し保守管理を行なっています。

 

 


教育業務

高度な医療機器を取り扱う上で、しっかりとした知識を有することは安全な医療を提供することは必要不可欠です。我々臨床工学技士は医療機器のスペシャリストとして、看護師さんや医師に対し医療機器の取り扱いや現在の治療条件、起こりうるトラブルや対処方法についても現場で説明しています。

 毎年、新人職員に対して輸液ポンプやシリンジポンプ、除細動器、人工呼吸器などの機器に関しての研修会を行っています。これらの機器はインシデント・アクシデント報告が多く挙がっている機器であり、特定機能病院である当院では臨床工学技士が中心となって基本的な使用方法やトラブル対応などを、実際の機器を使用し研修を行っています。

また、病棟や中央手術室、集中治療室などの部署から研修会依頼があればその都度研修会を行っています。