中央手術室

特定機能病院である当院の中央部門として中央手術室は、患者さんに24時間最良の高度医療を迅速に提供することを目標にしています。年間約8,000件以上の手術と血管造影検査、血管内治療が行われています。

最大の特徴は、手術室と血管造影室とともに、回復室、ICU・CCU(集中治療部)が同じフロアにあることです。このため患者さんに内科外科などの科の壁を超えて最適な高度医療や術後管理をふくめ24時間迅速に提供できる環境にあります。中央手術室では内科、外科を問わず各科の医師、麻酔・集中治療科の医師、看護師、放射線技師、臨床工学技士が密接に協力してチーム医療を行っています。

また、絶えず業務内容を見直して、患者さんの安全と医療の質の向上をめざしています。


特徴・特色

最新の設備と医療機器を備えて平成14年9月に西館6階に開設されました。15の手術室と3つの血管造影室からなっています。それぞれの手術室は移植手術の行えるクリーンルームをはじめ各科の手術が行いやすい設備環境となっています。開頭術、開心術、開腹術、鏡視下手術、小児手術、外傷手術などに加え、血管造影室では、心臓血管造影、脳血管造影検査、血管内治療が常時行われています。

 

各部屋は、余剰ガス排出装置を備え、それぞれ温度と湿度の調節が可能です。各部屋には手術台、全身麻酔器、無影灯、電気メス、その他様々な機器が配置されています。全身麻酔器には多チャンネルモニター(心電図、パルスオキシメータ、自動血圧計、観血的動脈圧測定など)が備えられ、それぞれのモニターは LANにより麻酔コントロール室、ICU内の中央監視装置とつながっています。また必要に応じて、経頭蓋ドップラー血流計、経食道心臓エコー検査など最新の装置を用いて手術中のモニタリングや検査を行うことができます。

また、手術中のレントゲン透視には移動型Cアームシステム装置、各種微小血管手術用に顕微鏡装置、鏡視下手術用にモニターなど最新の設備が装備されています。

 

中央手術室
中央手術室


MEの業務内容

臨床技術提供業務として心臓手術時の人工心肺装置・洗浄式自己血回収装置、ロボット手術(Davinci Xi)を含む内視鏡下手術機器、手術用ナビゲーション装置、ペースメーカやカテーテルアブレーション業務など多岐にわたる医療機器の操作を行っており、保守点検業務として手術の際に使用される生体情報モニタや電気メス、麻酔器など各種装置のメンテナンスも行っています。また手術室で使用される機器全般(検査機器、放射線機器は除く)に関して使用中や使用後のトラブル対応を臨床工学技士が行っています。多数の医療機器が使用される手術室の中で、機器トラブルは手術中の患者さんに影響が及ぶ可能性があります。トラブルを未然に防ぎ、安全に手術を行える環境を提供することも臨床工学技士の大きな役割だと考えています。

 

人工心肺業務

 心臓や大血管を治療する場合、心臓と肺の機能を一時的に止める必要があります。停止している間の血液循環と呼吸の機能を人工心肺装置で代行します。また、超音波血流計、自己血回収装置、心筋焼却装置などの手術の際使用される周辺機器の操作も行います。 

 当院では2人体制で手術に臨んでいます。チーム医療の一員として、医師・看護師・他のコメディカルの方々とコミュニケーションをとりながら、安全で質の高い医療を提供しています。

内視鏡下手術

 内視鏡下手術は消火器外科、泌尿器科、小児外科、脳神経外科、整形外科、産婦人科など様々な診療科にて行われています。

  当院では内視鏡下にて行われる手術の際、各種モニタのセッティングや気腹装置の操作を臨床工学技士が行っています。また超音波凝固切開装置など周辺装置のセッティングも行うこともあります。トラブル対応など要請があれば対応しています。

これまでの鏡視下手術に医療用ロボット(da Vinci)を用い支援を行う手術も行っており、内視鏡カメラと「インスツルメント」と呼ばれる手術器具を挿入し、術者が3Dモニタを見ながら遠隔操作で装置を動かすと、その手の動きがコンピュータを通してロボットに伝わり、手術器具が連動して手術を行います。

 当院では2017年度よりda Vinciを導入し手術支援を行っておりますが、臨床工学技士は医療用ロボットのセッティングに携わっています。またインスツルメントの使用後  点検・理も行っております。

 

 

 

手術ナビゲーション支援業務

 現在当院では脳神経外科、整形外科、耳鼻科領域を中心に手術用ナビゲーションシステムを用いて手術を行っています。

手術用ナビゲーションシステムとは、実際の術野の位置情報を座標化し、これを術前に撮影した画像上に反映させ術中の位置確認を行う画像支援システムです。術者は、3次元的な術野のオリエンテーションを把握しながら手術が進行でき,、より安全で的確な手術操作が可能となります。

  臨床工学技士は、術前に撮影されたMRIやCT画像をナビゲーションシステムに取り込み、各画像の重ねあわせや3Dモデルの画像作成等を行います。手術当日には、患者入室とともに機械を準備し、医師とレジストレーションを行います。   術中操作やトラブル対応等も臨床工学技士が行っています。

血管造影室

心臓カテーテル業務

心臓カテーテル検査・治療とは、心筋梗塞や狭心症など心臓に血液を供給する冠動脈が詰まったり狭くなった患者さんに対して、血管造影室にて冠動脈を造影剤で確認したのち、ステントと呼ばれる金属を留置したり、風船などで広げる治療をいいます。私たち臨床工学技士は2018年5月より業務介入を始めました。臨床工学技士は主に血管内イメージング装置の操作を行い、血管内の画像を記録したり計測を行ったりPTCRA(ローターブレーター)の準備をしたりと業務支援を行っています。また、常に心電図や血圧を確認しながら異常に気付けばすぐさま報告し、患者急変時には除細動器のセッティングや補助循環装置の導入・操作など緊急対応を行う場合もあります。その他にもスワンガンツカテーテルで心機能評価を行う場合にポリグラフを操作します。

不整脈関連業務

血管造影室では、脈拍数が遅くなる不整脈の患者さんにはペースメーカを植え込む必要があります。臨床工学技士は植え込み時に立会いし、プログラマ操作を行ったり、ペースメーカ外来にて循環器内科医師とともに定期的なフォローアップを行ったりしております。また、外科手術時に設定変更や、病棟や外来などでチェックやトラブル対応、MRI撮像や放射線治療前後のチェックも対応しています。

アブレーション業務とは、不整脈の中でも心臓のリズム異常が原因で起こる頻脈性不整脈に対して血管からカテーテルという細い管を通し、心臓内部の原因となる異常箇所を高周波で焼灼する治療です。臨床工学技士は、血管造影室内で3Dマッピングシステムや高周波発生装置、不整脈解析装置など様々な機器の操作を担当しています。